Softrock Lite II プロジェクト
プロジェクトの概要
概 略
Softrock (SR)Lite IIは、SR Lite V6.2シリーズの続編であり、ハムやSWLの入門用として経済的なSDR受信機キットです。
SR Lite IIの基板のサイズは、63mm x 23mmです。SMT部品は、全て基板の裏側に取り付けられます。
現時点で日本で入手できるキットは以下の通りです。SR Lite IIは、Tony Parks氏よりICASエンタープライズが輸入したものを日本で再販する形になっております。
- 40m Softrock Lite II 受信機
- 20m Softrock Lite II 受信機
今後需要により、160m, 80m, 30m, 15mバージョンを追加して行く予定です。
動作原理
情報を提供してくれた Jan G0BBL 及び Tony KB9YIGに感謝します。
- 本受信機は、入力RF信号を局発にぶつけることによりオーディオ周波数まで変換しているため、伝統的なダイレクトコンバージョン受信機の範疇に入れることができます。
- 伝統的なDC受信機との違いは、SDR受信機は局発を希望する受信周波数にぶつけるのではなく、局発は固定されています。
- その結果、ミキサー出力は0kHzから理論的には+/−数十kHzの幅を持ったオーディオ信号になります。実際、実用的な限度としては、サウンドカードの帯域の半分が0kHzからの帯域として使用することができます。
- 「同調」(及び復調、AFC、その他のラジオ機能)は、ソフトウエアで行われます。DC方式(感度は高いが選択度が非常に悪いことで有名な)ハードウエアで卓越した選択度を得られるSDRソフトウエアはまさにマジックです。
- SDRソフトウエアは、AFミキサーからの2つの信号(90度位相が異なっている以外は同一)を別々にPCに供給しなければなりません。SR Lite IIは、局発を1/4に分割することによりその処理を行っています。(位相を監視し、90度の位相を保つようにしています。)
- ディバイダー部からの出力は I (同相)とQ(クアッドレイチャー - 直角位相)になりまります。両者はお互いに90度位相がズレている以外は同一の信号です。
- アンテナからのRF信号は、バンド固有のBPF(バンドパスフィルター)でフィルターされます。
- ディバイダーステージからの2つの90度に位相が異なった信号は、ミキサーステージに供給され、BPFでフィルターされたRF信号を、2つの位相が90度異なったオーディオ信号に変換します。
- この2信号は、増幅ステージに送られ、PCのサウンドカードのLine-in入力レベルまで増幅されます。
- 48kHzのサウンドカードでは、0〜24kHzまでの入力オーディオ信号の「かたまり」をデジタル化することができます。IとQ信号用にステレオのLine-inを用いるこのようなサウンドカードでは、48kHzの帯域を確保することができます。つまり、中心周波数から+24kHzと、−24kHzになります。PCにインストールされたSDRソフトはデジタル化されたIとQ信号を処理し、この48kHz帯域内で信号の供給、復調、調整、フィルタリング等を行います。又、96kHzや192kHzのサウンドカードでは、比例した広帯域を確保できますが、内蔵されているフィルターにより全域を使用できない場合があります。
- Mike Collins氏KF4BQは、本SDR受信機関する広範囲なテストを行っています。 英語版テスト結果 この結果によると、非常にパワフルな受信機であることが分かります。コストを考慮すると、他に匹敵する受信機はなさそうです。
プロジェクト用回路図
(抵抗テストポイント (ヘアピン頂部、若しくは左側のリード) は、回路上で赤い印が付いています。)
(上記回路図には、クリック可能な部分があります。関連する情報を見ることが可能です。)
プロジェクト用部品表
参照 プロジェクト用部品表
上級者向け組立ノート
基板の表面
基板の裏面
概略(上級者向け)組立ノート
- 部品表と届いた部品を照らし合わせます。 ご注意: 部品表には、共通部品表 と下記の6つのバンド固有部品表があります:
- 全 SMTチップコンを半田付けします(裏面)
- SMTフラットICを取り付けます(裏面) ご注意: 16ピンのU3は、14ピンのU2の前に取り付けてください。
- 17個の抵抗を基板表面に取り付けます。 R7とR8はバンド固有ですのでご注意願います。
- 12個のセラコンを基板表面に取り付けます。 (その内6個はバンド固有です。)
- 半導体(U1,,D1,Q1,Q2)を基板表面に取り付けます。
- バンド固有水晶とアースリード線を取り付けます。
- コイルを巻き(L1,T1)、基板表面に取り付けます。
- 外部配線を行います。
- SDRソフト(例: Rocky)を起動して本SDRキットのテストを行います。
詳細組立ノート
初心者の方の為、このサイトでは、ステップバイステップでキットを組み立てる説明をしていきます。各ステージは、それぞれ単独で完結しており、どのようなステップで組立を行い、該当ステージのテストをするのかを説明しています。これにより、一度に組立を行うより、各ステージでテストをしていますので、組立が成功する確率が非常に高くなります。
各ステージは次の順番通りです。各ステージ名をクリックすると、そのステージに移動することができます:
- 部品目録チェック 部品表
- 組立・テスト 電源 ステージ
- 組立・テスト 局発 ステージ
- 組立・テスト ディバイダー ステージ
- 組立・テスト OPアンプ ステージ
- 組立・テスト BPF ステージ
- 組立・テスト ミキサー ステージ
- 組立・テスト 外部配線 ステージ
バックグラウンド情報
工 具
コイルの巻き方
コイルとトランスの巻き方に関しては下記のサイトを参考にしてください。(英語のみです)
- エキスパートからのヒント
- ビデオ画像KC0WOXs Website
- 参考文章Dinesh's VU2FD guidelines.
- こちらでは、 一般的なコイルの巻き方 に関する詳細があります。
半田付け
下記のビデオでは、フラットICの半田付けの例を見る事ができます。
ESD対策
- 涼しく乾燥したカーペットは避けること
- IC類は、実際に取り付けるまでは帯電防止袋から取り出さないでください。
- 作業を開始する前に人体に帯電した静電気を逃がしてください。アース筐体に手を触れることにより静電気を逃がすことができます。
- 可能であれば、静電気破壊予防グッズを使用してください。(アース付きリストバンド、アース付き作業マット等).
作業環境
- 出来るだけ明るい照明を用意してください。最低3倍の拡大鏡を準備しましょう。
- 四方が囲まれた作業エリアを確保します。SMT部品等を紛失しない為です。
その他の工具
- PCBクランプ − PCBを固定するクランプ
- 頭に取り付けるタイプの拡大鏡
- ピンセット − 先が曲がっているタイプがお薦めです
- 爪楊枝と蝋 − SMT部品をピックアップする時に、又それらの半田付け中に押さえる用途で使います
- カッター
- 先が尖ったラジペン
- 精密ドライバーセット
- 目の細かいサンドペーパー
プロジェクト - 完成ステージ
基板の表面
基板の裏面
プロジェクト - テスト
各ステージにはテストセクションが設けられております。これらのテストを毎回各ステージの組立終了後に行うことにより、自信を持って次のステージに進むことができます。
テストを行う場合、結果を常にテストセクションの空白欄に記録しておくことをお薦めいたします。後に故障等が発生した場合の手がかりになる場合もありますので、大切に保存しておいてください。
ここに出ている数値と実際の測定値を比較する場合、実際の数値と予想される値にはおおよそ +/−10%ほどの開きがでる場合がございます。公称値はあくまでも参考値であり、基準とするもので、実際の測定値か必ずしも同一とはないませんのでご留意願います。
本キットは、一般的なテスターだけで組立を行いテストすることが可能です。テスターには、回路負荷問題を最小化する為、十分にハイ入力インピーダンスを持ったデジタルテスターを使用してください。測定は、電流、電圧、抵抗値の項目で行われます。
殆どのステージでは、電流テストがあります。電流テストは、2段階あります:
- 一つ目は、電流制限抵抗を介しての電流測定です。
- 上記のテストがOKの場合、制限抵抗を取り除き実際の電流を測定します。